【10月1日 AFP】東欧マケドニアで9月30日、国名を「北マケドニア共和国」に変更することの是非を問う国民投票が行われ、即日開票された。賛成が9割超に達したものの、投票した有権者は全体のわずか3分の1程度にとどまった。ゾラン・ザエフ(Zoran Zaev)首相は議会での憲法改正手続きに進みたい意向だが、野党は国名変更に反対しており、実現は見通せない情勢だ。

 1991年に旧ユーゴスラビアから独立したマケドニアの国名をめぐっては、「マケドニア」が歴史的にギリシャ北部の地方を指すことなどからギリシャが反発。欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)への加盟を阻んできた。しかし、今年6月に両国政府の間でマケドニアの国名変更に向けた合意が成立した。

 選挙管理委員会の公式集計結果によると、93%の投票所で開票を終えた段階で、賛成票が91.3%と反対票5.7%を圧倒している。有権者は約180万人。

 国民投票に法的拘束力はなく、国名変更にはマケドニア議会で3分の2の同意による改憲と、ギリシャ議会による承認が必要となる。

 ザエフ首相は同日、「議員たちはマケドニアをわれわれ全てにとってより良い場所にする責務がある」と記者団に強調した。しかし、与党連合が成立に持ち込むには反対派の野党から十数人を切り崩さなくてはならない。

 一方、ギリシャ外務省は国民投票の結果を受けて、国名変更の見返りにマケドニアのEUとNATO加盟への反対を取り下げるとした合意内容の履行に引き続き取り組むと言明。ギリシャ政府筋によると、同国のアレクシス・チプラス(Alexis Tsipras)首相はザエフ氏の「合意内容を完全に履行する決意と勇気」を電話でたたえ、支持を表明したという。

 EU欧州委員会のヨハネス・ハーン(Johannes Hahn)委員(欧州近隣国政策担当)は、全ての当事者に国民投票の結果を尊重するよう要請。NATOのイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長も今回の結果は「歴史的なチャンス」だとし「NATOの扉は開いている」とツイッター(Twitter)に投稿した。(c)AFP/Sally MAIRS and Saska CVETKOVSKA