■急増する政権批判アート

 ヘッドエイクは、タイで増加する、水面下でくすぶっている軍事政権に対する不安を、アートを通じて拭い去ろうとする人たちの心を捉えた。

「ストリートアートの寿命は短い。ペンキで塗りつぶしてしまうこともできる。だが、一度ソーシャルメディアに上がれば、残り続ける」と、10月に初開催される「バンコク・アートビエンナーレ(Bangkok Art Biennale)」のアートディレクター、アピナン・ポーサヤーナン(Apinan Poshyananda)氏は言う。ビエンナーレでは、他のストリートアーティストたちも取り上げられる。

 一方、むしばまれた政治文化や複雑な社会問題を、批判をかわすため分かりにくい形で表現したダンスやパフォーマンスを上演するギャラリーやスタジオも急増している。

 タイのアーティストの1人、カウィター・ワッタナチャヤンゴン(Kawita Vatanajyankur)さん(31)は、悪名高いタイの工場や水産業界の劣悪な労働環境をほのめかすビデオ・インスタレーションを制作している。「これは大きな問題であり、私たちが直さなければいけないものだ」と、カウィターさんはAFPに語る。

 ヘッドエイク・ステンシルは最新作で、クーデター以降、毎年増え続ける軍事費がタイ社会に与える影響を表現している。1台のシーソーが描かれ、下がっている方の側には兵士、宙に浮いている側には少女が座っている。「この国は、教育よりも武器に予算を割いている」 (c)AFP/Delphine THOUVENOT and Sippachai KUNNUWONG