【9月28日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は27日、ケニアで横行しているドーピング問題に関して1年9か月にわたり調査した結果、同国で薬物摂取が「組織的」に行われている証拠は見つからなかったと結論づけた。

 WADAはケニアの首都ナイロビで発表した報告書で、「ケニア人アスリートによるドーピングの慣習は、単純で場当たり的かつ一貫性に欠けており、組織的なシステムがあった証拠は何もない」と述べた。

 ケニア反ドーピング機関(AKAD)と第三者機関であるアスレチックス・インテグリティ・ユニット(AIU)と協力し、WADAの情報調査局が2016年に立ち上げて「ケニア・プロジェクト」と命名された調査では、使用されていた禁止薬物として最も共通していたのは、ステロイドの一種であるナンドロロン(nandrolone)と造血剤エリスロポエチン(EPO)だったことが判明した。

 報告書ではまた、ケニアのアスリートがドーピングに関して「十分な教育を受けていなかった」か「意図的に情報を隠されていた」可能性があると指摘されており、AIUの責任者は、「ケニアは偉大で誇り高い陸上王国であることは間違いないが、深刻なドーピング問題を抱えている」と述べた。

 ケニアでは2004年以降、合計138人のアスリートが薬物検査で失格となっており、その大半は大会期間中の検査で違反が発覚している。その中には、女子マラソンの女王であるリタ・ジェプトゥー(Rita Jeptoo)とジェミマ・スムゴング(Jemima Sumgong)や、世界陸上(IAAF World Championships in Athletics)の男子1500メートルで3個の金メダルを獲得し、現在は暫定的に出場停止処分となっているアスベル・キプロプ(Asbel Kiprop)らが含まれている。

 ケニアでは最近、WADAの承認を受けて同地域初の血液検査所が設立された。

 WADA情報調査局の責任者は、「われわれはケニアにおけるドーピングの慣習について、非常に深刻に受け止めている。そして、ケニア陸上界におけるドーピングの規模や本質の解明に努力すると同時に、できる限りの対応策を考えていく」と述べた。(c)AFP