【10月12日 AFP】観戦チケットのダフ屋行為やファンのエンゲージメント向上、そして選手への給与の支払いといった、サッカークラブ積年の課題に対して、各チームが画期的な解決策になるかもしれないと注目し始めているのがブロックチェーン技術だ。

 インターネットに匹敵する革命と広く考えられているブロックチェーンは、無数のコンピューターのネットワークをまたいで共有される一種のデータベースで、そこにいったん保存された記録は、改ざんが極めて難しい。記録が元の状態を保っているかを、ネットワークが常に監視している。

 ブロックチェーン技術はこれまで主に、ビットコイン(Bitcoin)をはじめとする仮想通貨を支えるツールとして使われてきた。しかし今、この技術には幅広い活用の可能性が浮上している。医療記録に銀行業務、そしてスポーツもその一つだ。

 スペインのマドリードで開催された2日間の「世界サッカーサミット」で、スポーツ・インベストメント・パートナーズ(SIP)社のマイケル・ブロートン(Michael Broughton)氏は「ブロックチェーンは、スポーツ界の基幹インフラとなる力を秘めています」と述べた。

「現在の携帯電話やアプリは、土台となるインターネットを拡張したものと言えます。それと同じで、スポーツもブロックチェーンを土台にすることは可能です」

 9月には、フランス王者のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)が、マルタのブロックチェーン企業と共同で独自の仮想通貨をつくることを発表。イタリアの強豪ユベントス(Juventus)も、同月下旬に同様の発表を行っている。両チームのファンは、クラブ発行のトークンを購入することで、投票権や限定コンテンツへのアクセス権、特典を受け取る権利を得られるようになる。イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)は1月の時点で、オンラインベッティングで使用できる独自の仮想通貨を米企業と共同で発行する計画を発表している。