【9月22日 AFP】(更新)バチカン(ローマ法王庁)は22日、中国国内での司教の任命をめぐり歴史的合意に達したと発表した。中国の共産党政権はこれまで、政府が公認するカトリック教会で独自に聖職者を選任していた。

 バチカンのグレッグ・バーク(Greg Burke)報道官は訪問先のリトアニアの首都ビリニュスで、合意は「政治的なものではなく宗教的なもので、信者がローマ法王庁と一体ながら、同時に中国当局によって承認された司教を持つことを可能にするもの」と評した。

 バチカンは、これを受けてフランシスコ法王(Francis)が、バチカンの許可なく中国で任命されていた司教7人を承認したと発表。声明で「フランシスコ法王は、一連の決定で、過去の傷の克服を可能にする新たなプロセスが始まり、中国のカトリック教徒全員と完全な交わりを持つに至ることを期待している」と述べた。

 バチカンは中国ではなく台湾と外交関係を持つ17か国の一つ。だがフランシスコ法王は2013年の就任以来、中国との関係改善を模索してきた。

 一方の中国外務省は、司教の任命問題をめぐり同国とバチカンが「暫定」合意に至ったことを受け、二国間の関係改善を推し進めることに意欲を示した。

 同国外務省は短い声明を発表し、「両者はコミュニケーションを維持し、二国間関係の改善を推し進めていく」とし、合意への署名は北京で行われたことを明らかにしたが、さらなる詳細については言及していない。

 台湾外交部は、バチカンの歴史的合意について、欧州で唯一外交関係を持つバチカンとの断交には至らないとの見解を示した。

 外交部は声明で、今回の合意が中国における信教の自由に道を開くものであることを期待するとした上で、中国本土でカトリック教徒らが抑圧にさらされるのではなく、確実に正当な保護を受けるようローマ法王庁が取り計らうことを期待すると述べた。(c)AFP