【9月28日 AFP】欧州の長く乾燥した夏の影響で、チェコを流れるエルベ(Elbe)川では、かつて不吉の前兆と考えられていた巨大な「飢饉の岩」が再び姿を現した。

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 飢饉の岩は川の水位が異常に下がると出現し、苦境の時代や飢饉の訪れを告げる前兆とされていた。この岩があるジェチーン(Decin)は、チェコの首都プラハの北に位置し、ドイツとの国境から20キロの距離にある。エルベ川はチェコからドイツを通り、北海(North Sea)に注いでいる。

 岩はワゴン車ほどの大きさで、「私の姿を見たら、嘆くべし」という不吉な言葉が刻まれている。チェコがオーストリア・ハンガリー帝国の一部だった1904年に川の水位が低下した際、川岸の宿の主人で船頭だったフランツ・マイヤー(Franz Mayer)氏が、ドイツ語でこの言葉を岩に刻んだ。

「多くの人が何世紀にもわたり、エルベ川のいかだ乗りとして生計を立てていた。川の水位が下がっていかだを浮かべることが出来なくなるということは、生活のための手段を失うことだった」と、ジェチーンにある博物館の館長、ブラスティミル・パゾウレク(Vlastimil Pazourek)氏はAFPに述べた。「いかだ乗りたちは、この地方特有の柔らかい砂岩に苦しい年の日付を刻んだ。こうして『飢饉の岩』という名前になった」

 今でもジェチーンのエルベ川の岸では、何世紀も前の日付が刻まれた約20個の岩が残っている。最も古い年は「1616年」までさかのぼる。(c)AFP/ Jan MARCHAL