【9月21日 AFP】ワールドラグビー(World Rugby)のビル・ボーモント(Bill Beaumont)会長は20日、強豪国以外では初開催となる2019年W杯日本大会(Rugby World Cup 2019)の開幕を一年後に控えたカウントダウンが始まる中で、今後も開催国に名乗りを上げるラグビー「新興国」が増えるだろうという見解を示した。

 優勝トロフィーのウェブ・エリス・カップ(Webb Ellis Cup)を争う戦いが東京で幕を開けるまでちょうど1年を祝うイベントに出席したボーモント会長は、大会が史上最高の激戦で予測不可能な展開になると予想し、中でもフィジーがダークホースとして必見だと述べた。

 ボーモント会長は報道陣に対し、これからどこでW杯を開催すべきかという課題について「ワールドラグビーは、これから哲学的な討論を前に進めていかなければならない」とコメント。ラグビーの伝統国とは程遠い存在の日本がW杯開催国に決まった理由について、アジアには「目覚ましい成長が期待できる」からだと説明した。

 アジアラグビー(Asia Rugby)は現在、競技人口の100万人増加を目指しており、現役時代には元イングランド代表だったボーモント会長は、達成率が90パーセント近くに上っているとして、「実際のところ、日本では2~3年前と比べて20万人以上も増えている。これは目覚ましい成果だ」と述べた。

 しかしながら、ブレイブブロッサムズ(Brave Blossoms、日本代表の愛称)の象徴的存在として活躍した五郎丸歩(Ayumu Goromaru)は、英字紙ジャパンタイムズ(Japan Times)に対して、日本が南アフリカに番狂わせを演じたW杯イングランド大会(Rugby World Cup 2015)以降、ラグビー界の盛り上げが不十分な状態であることに「かなりいら立っている」と話し、「人気は急激に下降している。状況は(2015年の)W杯より前の状態に戻っている」と強調した。

■日本がつまずいても「大失敗することはない」

 ピッチに目を向けると、ラグビーの小国は伝統的な強豪国であるニュージーランド、オーストラリア、フランス、さらにホームネーションズ(イングランドなど)との実力差を縮めつつあり、ボーモント会長は来年のW杯はかなりの激戦になると予想している。

 中でもフィジーは、これまでW杯で2度下馬評を覆して8強入りを果たした実績があり、ボーモント会長は「いわゆる優勝候補は、どこもフィジーと対戦したいと思わないだろう」と述べた。

 フィジーは来年9月21日のオーストラリア戦でW杯の幕を開ける。オーストラリアは現在、ラグビー南半球4か国対抗戦のザ・ラグビーチャンピオンシップ(The Rugby Championship 2018)で最下位に沈んでおり、前週のアルゼンチン戦では地元で35年ぶりの敗戦を喫した。

 W杯連覇中の王者オールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表)も前週、南アフリカに34-36で敗れてほころびを露呈しており、ボーモント会長はそのことについても指摘した。

「イングランドは少し調子を落としており、これからどうなることか? ニュージーランドが負けたときも、誰もが驚いた。アルゼンチンは調子を取り戻している。アイルランドやウェールズもかなり調子が良く、南アフリカも好調だ」

 来年9月20日に東京でロシアとのW杯開幕戦を迎える日本は、4年前の前回大会で演じた南アフリカ戦での歴史的番狂わせに匹敵する活躍を目指している。

 ボーモント会長は、2015年大会で開催国のイングランドがプールステージ敗退を喫しても「大会の素晴らしさが損なわれることはなかった」と強調し、「開催国には活躍してもらいたい。しかし、成績が振るわなくても大失敗することはない」と語った。(c)AFP/Hiroshi HIYAMA、Richard CARTER