【9月21日 Xinhua News】午後の暖かな日差しの中で七仔(チーザイ)は草地に寝そべり、みずみずしいササを「むしゃむしゃ」とおいしそうに食べている。

 これは9歳になるジャイアントパンダ「七仔」の日常生活の一コマ。中国の「国宝」とされるジャイアントパンダの中でもひときわ珍しく古い種-秦嶺(しんれい)亜種に属する。七仔の体で特徴的なのは、黒と白という一般的なジャイアントパンダとは異なり、本来黒いはずの毛が茶色になっていること。茶色いパンダは大変珍しく、中国では「宝の中の宝」と呼ばれている。

 陝西省ジャイアントパンダ繁殖センター動物病院の馬清義(ば・せいぎ)院長によると、過去数回の科学的に検証可能な茶色いパンダの発見記録はすべて秦嶺山脈内だという。茶色いパンダが生まれる原因について、まだ統一した見解は出ていない。

 陝西省ジャイアントパンダ繁殖センター動物病院 馬清義(ば・せいぎ)院長

 おそらく茶色の遺伝子が原因です。父親と母親の遺伝子が組み合わさって、それが茶色の外見を生み出すのです。また、先祖返りだとする学説もあり、ジャイアントパンダの祖先にこういう体の色があったからではないかと考えられています。三つ目の学説は、一種の病的な状態だとするもので、アルビノ(先天性白皮症)だと考えられています。

 【解説】現在、世界でただ1頭の飼育されている茶色パンダである七仔は、陝西省希少野生動物救急飼育研究センターでほとんどの時間を寝たり食べたりして過ごし、体重は120キロ近くになっている。

 そんな七仔だが、実は生まれてすぐ母親に捨てられ、2009年11月1日に秦嶺山脈の三官廟(さんかんびょう)近くで発見された。母親が姿を消して何日も経っていたが、この茶色い赤ちゃんパンダは這うこともできず、重度の脱水症や腸閉塞にかかり、息も絶え絶えだった。

 ただちに救助され、手厚く世話をされた七仔は、研究センターで生命の危機を脱し、その運命もここから大きく変わった。一連の訓練を通して、後ろ足の力や四肢の連動性、においを嗅ぎ分ける能力は高まり続けている。スタッフは先ごろ、七仔と大人のパンダをペアリングさせており、まもなく生涯の新たな1ページを開くかもしれない。

 陝西省ジャイアントパンダ繁殖センター動物病院 馬清義院長

 今年、2頭のメスが発情期を迎えた頃に、様子をみながら人工授精を行いました。もしかすると、彼は今年父親になるかもしれません。

 【解説】最新の調査結果によると、陝西省秦嶺山脈に生息するジャイアントパンダは約345頭で国内の18.5%を占め、生息地の面積は36万600ヘクタールに及んでいる。(c)Xinhua News/AFPBB News