【9月18日 AFP】2012年のツール・ド・フランス(Tour de France)で英国人初の総合優勝を果たしたブラッドリー・ウィギンス(Bradley Wiggins)氏が18日、ミッチェルトン・スコット(Mitchelton-Scott)に所属するサイモン・イェーツ(Simon Yates、英国)について、仮にチームスカイ(Team Sky)でキャリアを追求する選択をしていれば、今年のブエルタ・ア・エスパーニャ(Vuelta a Espana 2018)を制することはできなかった可能性があるという見解を示した。

 現役時代はスカイのライダーとして活躍したウィギンス氏は、イェーツが16日にスペイン・マドリードで勝利を手にしたのは、自転車ロードレース界を代表する強豪チームの一つである同チームと距離を置く決断を下したためだと考えている。

 今年のジロ・デ・イタリア(Giro d'Italia 2018)では惜しくも勝利を逃したイェーツは、2013年にスカイに加入する可能性が大きく報じられていたものの、双子の兄弟であるアダム(Adam Yates)の処遇をめぐるいざこざで契約は成立しなかった。現在は兄弟二人でミッチェルトン・スコットに所属している。

 ウィギンス氏はユーロスポーツ(Eurosport)の自身の番組で、「スカイと契約していたら、彼はブエルタで勝っていなかっただろう」「彼のキャリアがこの道をたどっていたかどうかについては、あの瞬間が分岐点となった。スカイが一緒にアダムを加入させるつもりがなかったことによって、こうして彼は素晴らしいチームに巡り合い、26歳にして三大ツール(グランツール)の優勝者となった」と述べた。

 今年2月にウィギンス氏は、スカイの独壇場となっている現状に加え、チームを取り巻く論争がこのスポーツに「ネガティブ」な雰囲気をもたらしていると指摘していた。さらに、チーム・ウィギンス(Team Wiggins)に所属するトム・ピッドコック(Tom Pidcock、英国)へのアドバイスを求められると、「将来スカイには行かずに、あそことは関わらないことだ。キャリアを台無しにされるから、どこかよそへ行け」と答えた。

 ウィギンス氏が意見の根拠としているのは、スカイが若手有望株と契約し、最近ではクリス・フルーム(Chris Froome、英国)らグランツールの優勝候補であるエースライダーのいわゆる「スーパーアシスト」として起用していることが挙げられる。「サイモンには優勝する才能があることを、われわれは全員知っていた。それを実現するかは別の問題だが、私は驚いていない。なぜなら、彼はもう何年もその扉をたたいてきたからだ」

 イェーツがブエルタで優勝したことによって、2018年のグランツールは三大会とも英国勢がタイトルを総なめにした。グランツールでは現在、英国勢が5連勝を記録しているが、スカイ以外では同選手が初めてとなった。(c)AFP