【9月17日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)の女子シングルスを制した大坂なおみ(Naomi Osaka)が17日、同日開幕した東レ・パンパシフィック・オープン(Toray Pan Pacific Open 2018)の記者会見に臨み、全米制覇後の表彰式で涙を流したのは、主審に激高した対戦相手のセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)のせいではないと改めて話した。

 大坂は、約1週間前の全米決勝でセレーナに6-2、6-4で勝利し、四大大会(グランドスラム)のシングルスを制した初の日本選手となった。しかし、コーチングの違反を取られたセレーナが激怒し、主審に「盗人」といった暴言を浴びせるなどして最終的に1ゲームを失ったこともあって、表彰式ではブーイングが鳴り響き、大坂はその場で悲しそうに涙を流した。

 それでも大坂は、泣いたのは子供の頃から憧れていたセレーナのせいではなく、「ちょっと感情があふれちゃっただけだと思う。あの時は理由がはっきりとはわからず、とにかく胸がいっぱいだった」と話した。

 セレーナと主審の衝突は、男子選手と扱いに差があるとセレーナが発言したことで、性差別も絡んだ大きな議論となり、テニス界でも意見は真っ二つに割れている。騒動からは一歩引いたところにいる大坂だが、表彰式での涙は見ている人の共感を呼んだ。

 その点について大坂は「みなさんが私を気にかけて、共感してくれるのはうれしいが、悲しいことは何もなかったと思う。勝利をもっとかみしめられたはずとも思わない。私には私なりのやり方があって、そこは人それぞれだから、後悔はまったくない」と話している。

 また全米の表彰式では、セレーナの史上最多24回目のグランドスラム制覇を阻んだことを観客に謝り、トロフィーを落としそうになる場面も話題を呼んだ。しかし本人は、「史上最悪の優勝スピーチ」と自分で言ってしまったBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2018)を制した時のことを指しながら、自分はそもそも優勝スピーチが苦手なのだと話している。

 大坂は笑顔で「私が表彰式はあまり得意じゃないというのは、何とくなく周知のことだと思う。インディアンウェルズ(Indian Wells、BNPパリバ・オープン)の時も、他の人とはちょっと違った感じになってしまったと思う」とコメントした。

 大坂の活躍で、今大会の観戦チケットの売り上げは好調が見込まれている。大会は、第1シードになっているキャロライン・ウォズニアッキ(Caroline Wozniacki、デンマーク)が2連覇中で、大坂も2016年大会の決勝でウォズニアッキに敗れている。

 それでも、世界ランキングが19位から7位にジャンプアップした大坂は、「自分もあれからたくさん試合をしたし、少し大人になったから、その経験が生きるはず。それに自信もついた」と話し、「この大会は何回も出ているし、決勝に進んだことも1回ある。だから自分にとっては特別な大会」とコメントした。(c)AFP/Alastair HIMMER