【9月15日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のトト・ヴォルフ(Toto Wolff)代表は14日、チームのジュニアドライバーで現在フォースインディア(Racing Point Force India)に所属するエステバン・オコン(Esteban Ocon)が、来季のシートを失う危機に立たされていることについて、他チームの代表を「うそつき」で「根性なし」と激しく批判した。

 資金難で破産したフォースインディアがカナダの富豪ローレンス・ストロール(Lawrence Stroll)氏を新オーナーに迎え、その息子で現在ウィリアムズ(Williams)のドライバーである21歳のランス・ストロール(Lance Stroll)が来季からチームに入る見通しとなったことを受け、オコンは2か月前にルノー(Renault)とマクラーレン(McLaren)から暫定契約のオファーを受けていた。

 しかし、ルノーはレッドブル(Red Bull)からダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)が電撃加入することが決まり、マクラーレンはフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)の後釜としてカルロス・サインツ・ジュニア(Carlos Sainz Jr.)を選択。これによって、オコンは二つの扉が閉ざされてしまい、2019年シーズンはF1から締め出されることが決定的となった。

 第15戦シンガポールGP(Singapore Grand Prix 2018)を控え、ヴォルフ代表はスカイスポーツF1(Sky Sports F1)に対し、「今年の7月と8月に起きていたことは、まさに信じ難い」、「裏での政治的な動きや秘密裏の計画、そしてうそがあまりにも多かった」と怒りをあらわにした。

「優秀な若者たちが全員来季のマシンに乗れるわけではく、エステバンもその一人になりそうだ。7月には彼のテーブルに二つのオファーがあり、どちらか正しい方を選ぶだけとなっていた。それなのに、今は何もなくなってしまった。なぜなら、自分たちの言葉を忠実に守る根性がない人々がいるからだ」

 一方のオコンも同日、シンガポールで記者の取材に応じ、来季はF1に参戦しない可能性が高い状況を受け入れるのは難しいとして、「2か月前は最高の立場にいたのに、それが今ではこんなことになってしまうなんて信じられない。ここまで懸命に努力してきたし、昨年と比べても成長したと思う」とコメントした。

 現時点で来季のドライバー2人が最終決定していないのは、ハース(Haas F1 Team)、ザウバー(Sauber)、トロ・ロッソ(Toro Rosso)、そしてウィリアムズだけとなっており、オコンがシートを獲得する可能性は徐々に狭まっている。 

 先月の第13戦ベルギーGP(Belgium Grand Prix 2018)では予選3番手につけたオコンは、シンガポールのパドックで「僕は毎レース、最高の結果が出せるように一生懸命に戦っている」、「来年はどうなっているか分からない状態のまま、ここでレースをすることは受け入れ難い」と話した。(c)AFP