【9月15日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は14日、第三者グループであるコンプライアンス審査委員会(CRC)からの勧告を受けて、薬物問題にまみれたロシアの反ドーピング機関(RUSADA)の資格停止処分を解除する方針を示した。

 WADAはコメント文を発表し、今月20日に開かれるWADAの理事会でRUSADAの資格回復を承認すると述べた。RUSADAは国家ぐるみで薬物検査の不正操作を行っていたことが発覚し、規則を順守していないと認定されて2015年にWADAから資格停止処分を受けていた。

 独立捜査官であるリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書によると、ロシア当局は同国スポーツ省や諜報(ちょうほう)機関、連邦保安局(FSB)からの全面支援を受けて巧妙なドーピングプログラムを実施していたとされている。同国政府は国内のドーピングシステムが破綻していると結論づけたものの、指摘された組織的な関与については否定していた。

 WADA内部では今年初め、ロシアが制裁解除に向けて十分な対策を取ったかどうかに関して、一部では資格回復の「ロードマップ(計画表)」を満たしていないと主張する声が上がるなど意見が分かれていた。しかしながら、同日発表されたWADAのコメント文では、ロシアスポーツ省の書簡を吟味した結果、CRCがRUSADAの資格回復を提案したことが明らかになった。

「この書簡はロシアで薬物問題が特定されたことを十分に認識したものである。従って、RUSADAの規則順守に向けたロードマップのうち、未解決となっている二つの基準の最初の一つが満たされた」

 コメント文ではまた、モスクワの検査機関に保管されているデータやサンプルへのアクセス権についても、第三者の専門家を通してWADAに権限を与えることにロシア側が合意し、ロードマップの二つ目の基準が満たされたとしている。

 一方、WADAの今回の方針に関して、米反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は、ロシアが規則を順守している証拠は何もないと痛烈に批判した。

 タイガート会長はコメント文で「率直なところ、これはまったくお粗末なものだ。WADAは小手先の隠ぺいをやめ、ロシアが規則を順守していることを示す情報に加え、CRCの勧告書を公開すべきだ」、「きょうWADAは世界に向けて、数百万人のクリーンなアスリートの権利より、一部のスポーツ団体の管理者の欲望を支持する組織であるということを明確に示した」と述べた。(c)AFP