■クジラ保護推進「フロリアノポリス宣言」をめぐる対立

 一方、今後のIWC指針としてブラジルが提案したクジラ保護推進を訴える「フロリアノポリス宣言(Florianopolis Declaration)」をめぐっては、反捕鯨国と捕鯨支持国とが激しく対立した。

「フロリアノポリス宣言」は、72年の歴史を持つIWCの共通ビジョン確立を試みる提案だったが、反捕鯨国と捕鯨国の対立が浮き彫りになった。

 IWC日本政府代表代理を務める諸貫秀樹(Hideki Moronuki)氏は、同宣言には32年に及ぶ商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)の撤回に関する条項がないため、日本政府としては支持できないと説明。加盟国の対立を深刻化させ、クジラ保護と科学に基づく捕鯨管理の両方を台無しにする恐れがあると述べた。

 ブラジルの提案は、商業捕鯨はもはや不要な経済活動だとし、クジラの個体数を商業捕鯨が始まる以前の水準まで復活させることを掲げている。一方、日本は「持続可能な捕鯨委員会(Sustainable Whaling Committee)」を新設してクジラ保護と商業捕鯨を両立させる「前向きな」提案を行う方針だ。(c)AFP/Denis BARNETT