■石炭火力発電所200基から年間放出される気候汚染物質量に相当

 論文の執筆者らによると現在、評価対象外となっている稲作由来のN2Oの世界放出量は、石炭火力発電所約200基から1年間に放出される気候汚染物質の量に匹敵する可能性があるという。

 国内の間断かんがい水田5か所で今回の調査を実施したインドだけに限ると、N2O放出量は「連続かんがいの下で報告されているより30~45倍多い可能性がある」と、研究チームは指摘。全体としては、1ヘクタール当たりのN2O放出量は、間断かんがい農場に関する過去の研究で報告されていたより3倍多いと推算している。

「今回の最新データを全世界に当てはめて、メタン放出量の推定に組み込むと、メタンとN2Oの両方による気候に対する最終的な影響は過去の推定より2倍大きくなる可能性がある」と、クライティ氏は述べた。

 専門家らによると、かんがいによる稲作を行う農業従事者すべてが水田に浅く水を張る、つまり地面から5~7センチ以内の水位を保つことが改善策の一つとなると考えられるという。

「このかんがい管理体制で生成されるメタンとN2Oは最小量となる」と、クライティ氏は述べている。

 稲作由来のN2Oについては現在のところ、大規模な追跡調査は行われておらず、中国やインドなどのコメの主要生産国が国連に報告する温室効果ガスインベントリ(一覧表)からも外されている。

 だが、世界各地で水不足がますます深刻化するのに伴い、水田土壌の湿潤と乾燥を繰り返すサイクルが、地球にもたらす危険について周知されないまま、多くの稲作農業従事者らに解決策として注目される可能性がある。

 この事態を回避するには、科学者らが世界規模でのN2Oの追跡調査と報告をさらに拡充する必要があると、EDFは指摘している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN