【9月11日 AFP】世界の稲作水田の一部は、水を張る期間とその後に土壌を乾燥させる期間のサイクルを繰り返す方法で管理されているが、これが原因で地球温暖化を招く温室効果ガス汚染が従来の推定量の2倍に及んでいる可能性があるとする研究論文が10日、発表された。

 査読学術誌の米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された論文によると、コメは世界人口70億人の半数以上が主食としているため、水稲をどのように管理するかが地球の気候温暖化に重大な影響を与えるという。

 環境保護団体「環境防衛基金(EDF)」のチームは今回の研究で、亜酸化窒素(N2O、笑気ガス)の放出量を詳細に調査した。大気中の残留時間(寿命)が長いN2Oは、メタンや二酸化炭素(CO2)よりも強力な大気汚染物質とされる。

 N2Oの放出量は、水田を乾燥させた後で再び水を張る場合に増加する。「間断かんがい」と呼ばれるこの方法では年に数回、水田の水位を下げて地面を露出させる。

 正確な数は不明だが、一部の農家は間断かんがいで稲作をしている。水田から放出されるもう一つの主要温室効果ガスであるメタンが削減されるからだ。

 論文の筆頭執筆者で、EDFの上級研究員クライティ・クライティ(Kritee Kritee)氏は、AFPの取材に電子メールで回答。「土壌が頻繁に湿ったり乾いたりすると、N2Oを生成する微生物にとって理想的な環境が土壌内に何度も繰り返し形成される」「一方、メタンを生成する微生物にとっては、土壌が水中に沈んでいることが必須条件となる」と説明した。

「世界のかんがい農場の大半は水田に連続的に水を張る連続かんがいを行っており、こうした農場では有意な量のN2Oは生成されない」と広く考えられているが、すべての農場で連続かんがいが行われているとは限らないため、「稲作農業による気候への全影響が著しく過小評価されている」と、クライティ氏は指摘した。