【9月7日 AFP】国連(UN)は10日、シリア北西部での戦闘激化により、今月だけで3万人余りが避難を強いられたと発表し、シリア政府軍が同地域に進攻すれば今世紀「最悪の人道的惨事」をもたらす恐れがあると警告した。

 シリアの反体制派はここ数か月、政権軍側の一連の勝利により窮地に陥っており、北西部イドリブ(Idlib)県と同県に隣接する地方部は、現在も反体制派が掌握する最大の地域となっている。

 シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は現在イドリブ県に照準を定めており、シリア政府軍は今月に入り人口の密集する同県への攻勢を強めてきた。

 国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、今月1日~9日の9日間でイドリブ県と同県に隣接するハマ(Hama)県の一部では推定3万452人が避難民となった。

 OCHAのデービッド・スワンソン(David Swanson)報道官はAFPに対し、「われわれは最近の暴力の拡大と、これによる同地域での3万人を超える避難民について深刻な懸念を抱いている。(事態を)非常に注意深く監視している」と述べた。

 国連のマーク・ローコック(Mark Lowcock)事務次長(人道問題担当)は10日、スイス・ジュネーブで記者団に対し、「イドリブ県が今後数か月間で、21世紀最大の人命損失を伴う最悪の人道的惨事とならないよう、この問題に対処する方法があるはずだ」と訴えた。(c)AFP/Omar Haj Kadour