【9月9日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)の女子シングルス決勝でセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)を破り、大会女王に輝いた大坂なおみ(Naomi Osaka)。試合中は冷静に勝負に徹していた大坂だが、試合を終えて憧れのセレーナとハグを交わすと感極まった様子を見せた。

 大坂はこれについて、セレーナにペナルティーが科されたことで騒然となったアーサー・アッシュ・スタジアム(Arthur Ashe Stadium)の雰囲気の影響というよりも、セレーナから24回目の四大大会(グランドスラム)制覇の機会を奪ったことに気づいたからだと話している。

 大坂は試合後の会見で、「彼女がグランドスラム24勝目を本気で目指していたのが分かっているから」と再びこみ上げてくるものをこらえながら、そのときの感情を説明した。

「コートに入るときは、自分が別人になったつもりでいる。自分はセレーナのファンじゃない、ただのテニス選手で、もう1人の選手と試合をするだけだって。でもネットの横で彼女とハグしたら、小さな子供の頃に戻った感じがした」

 そう話す大坂は、コート上では子供らしい部分はまったく見せなかった。この日は雨が降っていてスタジアムの屋根が閉じていたため、客席の大多数を占めるセレーナファンのすさまじい歓声が場内にいっそう響いたが、大坂はそれにも動じることなく、強烈なサーブからポイントを奪って第1セットを獲得した。

 迎えた第2セットは1-3といったんリードを許したが、コーチングで警告を受けたことに納得のいかないセレーナが、その後ラケットを破壊して2回目の警告で1ポイントを罰せられると、暴言による3回目の警告で1ゲームのペナルティーを受けて自滅。

 セレーナが崩れたことについて、大坂は「何が起こっているかは分からなかった。とにかく集中することを意識していた。自分にとって初めてのグランドスラム決勝だったし、雰囲気にのまれたくなかった」、「セレーナが自分のベンチに来て、1ポイントのペナルティーを受けたと教えてくれた」、「試合中はとにかく自分のことに集中していた」と話している。

 次の目標はシンプルに次戦の東レ・パンパシフィック・オープン(Toray Pan Pacific Open 2018)優勝だと話す大坂は、日本では盛大な歓迎を受けるだろうが心の準備はできているかと問われると、「そのことで質問攻めに遭っているうちは、ちょっと無理かも」と答えた。

 日本の選手がグランドスラムのシングルスで優勝を飾るのは史上初めて。またこの優勝で、大坂は賞金380万ドル(約4億2200万円)を獲得している。(c)AFP