【9月6日 AFP】モズは小さな鳴き鳥だが、そのかみそりのような鋭いくちばしで獲物を攻撃する肉食性の鳥であることは広く知られている。しかし、自分よりもはるかに大きな獲物を仕留める方法をめぐっては、専門家らの間で長年の謎となっていた。

 最新の研究論文によると、モズはその力強いくちばしで獲物をくわえて激しく揺さぶり、むち打ち症に似た外傷を生じさせるほどの早さで振り回すのだという。

 5日の英国王立協会(Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に掲載された論文の主執筆者、ディエゴ・サステイタ(Diego Sustaita)博士は「モズが体の大きさの割には驚くほど大型の動物を殺せることはすでに知られていたが、その具体的な方法については不明だった」と話す。

 モズのくちばしはタカのように鋭いかぎ状となっている。これで獲物の頭や首を狙って攻撃し、部分的にまひさせる。だが、他の猛禽類は獲物にとどめを刺す助けになる大型のかぎ爪を持つが、モズにはこのかぎ爪がない。

 サステイタ博士によると、米カリフォルニア州のサンクレメンテ(San Clemente)島にあるサンディエゴ動物園保全研究所(San Diego Zoo Institute for Conservation Research)の研究チームは今回、獲物の体重を巧妙に使った動きで激しい揺さぶりが行われていることを確認したという。

 AFPの取材に同博士は、「この揺さぶりで獲物を動けなくしていると考えられる。獲物の首を中心とした運動で生じる加速度によって、その首を折ったり損傷させたりするような力が生じるため、仕留める上では重要(なプロセス)となる」と説明。「モズが自身の頭を振る速度は驚異的だった。比較的大型の動物をくわえている場合は特に」と続けた。

 この運動では、約6G(重力加速度の約6倍)に相当する加速度が生じると、論文は示唆している。