【9月4日 AFP】太平洋の島国ナウルで、太平洋地域の独立国・自治政府が加盟する「太平洋諸島フォーラム(PIF)」の年次首脳会議が開幕した。しかし開催国ナウルと中国との間のビザ(査証)発給問題で、会議が頓挫しかねない事態に陥っていたことが、4日明らかになった。地域における中国の影響力の拡大に絡み、各国の微妙な立場が露呈した形だ。

 同フォーラムには16か国と2地域が加盟。中国は加盟していないものの、加盟諸国との協議に「対話パートナー」として加わっている。

 ナウルは中国ではなく台湾と外交関係を結んでおり、今回のサミット開催に用いられたインフラの多くに出資したのも台湾だ。

 そうした中、同フォーラムの公式協議が開始された一方で、ナウルによる中国の特使団への対応をめぐり、加盟国の一部が協議のボイコットを辞さない構えを示したことを暴露する書簡が流出。

 ナウル側は、中国の特使団へのあからさまな当て付けであるかのように、入国ビザのスタンプを外交官用旅券には押さず、個人旅券に押す形で手続きを行うとした。

 ささいな出来事のようにも見えるが、この対応に他のPIF加盟諸国が怒りの反応を示した。こうした国々の多くは、中国から開発援助や無利子借款を受けている。

 サモアのツイラエパ・サイレレ・マリエレガオイ(Tuilaepa Sailele Malielegaoi)首相はナウルのバロン・ワガ(Baron Waqa)大統領に対し、会議からの離脱もあり得ると示唆し、他の首脳もそれに続く可能性があると警告した。

 最終的にワガ大統領は態度を軟化させ、中国の特使団へのビザのスタンプは個人旅券ではなく、ビザ発給書類に押すという形で対応したという。(c)AFP