【9月4日 AFP】党内の派閥争いが続いていたオーストラリアの与党・自由党が、議員の間で脅迫やいじめが行われていたという女性議員たちからの批判にさらされている。

 自由党は、党内の保守強硬派が穏健派のマルコム・ターンブル(Malcolm Turnbull)氏を首相の座から引きずり下ろすべく党首選を画策。ピーター・ダットン(Peter Dutton)内相が2度の党首選に臨んだが、最終的に先月下旬に保守主流派のスコット・モリソン(Scott Morrison)財務相(当時)が勝利して新たな首相に就任し、党内の争いは一段落した。

 だが、女性議員や閣僚からは、党首選の投票をめぐって脅しやいじめがあったと証言する声が上がっている。

 ジュリア・バンクス(Julia Banks)下院議員は、党首選の最中にあらわになった議会内部の悪質な文化を理由に、来年の総選挙に立候補しないと宣言した。バンクス氏が最初に脅しやいじめの問題を指摘したとき、自由党内からそんな問題はないと否定されたり、もっとタフになるべきだなどと言われたりしたという。

 さらにルーシー・ギチュヒ(Lucy Gichuhi)上院議員は3日、豪ABCラジオに「多くの上院議員や閣僚たちが泣いているのを目にした。それほどひどい状況だった」と述べ、嫌がらせを行った議員らの名を議員特権の下で公表する考えもあると言明。ギチュヒ氏は、こうした嫌がらせ行為は最近に限ったことではなく豪州議会の「文化」であり、「組織的な問題だ」と訴えた。

 ケリー・オドワイヤー(Kelly O'Dwyer)女性担当相は具体的な事例は明らかにしなかったものの男女の議員から話を聞いた結果として、「議員たちが脅しや脅迫、いじめを受けていたことは明らか」と述べ、ギチュヒ氏らの主張を裏付けた。

 一方、党首の座をめぐる党内抗争を引き起こしながら改めて内相に起用されたダットン氏は豪テレビ「セブン・ネットワーク(Seven Network)」に、自身の支持者に不適切な行動があったとは認識しておらず、自身としてもいじめは容認しないと語った。(c)AFP