■「野心的なパートナー」

「中国はソフトパワーを拡大しているが、対外援助を担う高度な国際機関がない」と指摘するのは、米投資コンサルティング会社ジェイ・キャピタル・リサーチ(J Capital Research)の共同創業者でリサーチ部門を統括するアン・スティーブンソンヤン(Anne Stevenson-Yang)氏だ。「だから中国の対外援助がうまくいかないのは驚きではないが、マレーシアのように政治的問題が持ち上がることは誰も予期していなかった」

「人民元安が進む中、世界で中国は野心的なパートナーだと認識されつつある。各国はむしろ一帯一路事業を疑いの目で見るようになっている」と、同氏はAFPの取材に述べた。

 一帯一路で、開発途上国は切望するインフラ整備を手に入れ、中国は自国の過剰な生産能力の放出先と原材料の保管施設を手に入れる。

 だが、米シンクタンク「世界開発センター(Center for Global Development)」の調査によると、シルクロード基金を受け取っている8か国(パキスタン、ジブチ、モルディブ、モンゴル、ラオス、モンテネグロ、タジキスタン、キルギスタン)は、公的債務の持続可能性に「深刻な懸念」を抱えている。

 この調査によると、中国とラオスを結ぶ鉄道の事業費は67億ドル(約7400億円)だが、これはラオスの国内総生産(GDP)のほぼ半分に当たる。

 また、ジブチについて国際通貨基金(IMF)は、2014年には50%だった公債の対GDP比が、2016年は85%と大幅に増加しており、「過剰債務」に直面していると警告している。

 アフリカは長年にわたり中国投資を受け入れてきた。アフリカ大陸の過去10年間の最大の貿易相手国は中国だ。アフリカ各国は3日から北京で開催されている「中国アフリカ協力フォーラム」の首脳会議で、「一帯一路」事業についても協議する。