【9月5日 CNS】中国・陝西省(Shaanxi)西安市(Xi'an)の地下鉄2号線の終点駅で、ラブラドールレトリバーの盲導犬「黒妹(Hei Mei)」は、二人の訓練士とともに社会化トレーニングを行っている。

 陝西省身体障害者補助器具中心・盲導犬発展サービス中心の梁延方(Liang Yanfang)訓練士は、「黒妹の訓練は主に、駅の入り口や安全検査口を通過する訓練や、ホームで電車を待つ訓練、地下鉄やエレベーターの乗り降りなど。これらを反復して練習することで、盲導犬は視覚障害者を安全に地下鉄に導くことができるようになる」と説明する。

 訓練現場では、多くの市民の注目を集める中、黒妹は、「待て」「お座り」などの動作をそつなくこなし、利発さを十分に示していた。

 しかし、黒妹が盲導犬として視覚障害者の相棒となるまで、まだ最低でも半年以上の訓練時間を要するという。

 同施設での訓練を終えた盲導犬は、10月に盲導犬としてデビューし、視覚障害者のもとへ行くことになる。すでに100人以上の視覚障害者が、申請を行っているという。

 李賽(Li Sai)訓練士は、「街中で見かけることは少ないが、西安市には現在、26万人の視覚障害者がいる。最大の問題は、人的サポートがない状況のまま、視覚障害者は自宅から出かけることもままならず、社会から完全に隔離されていることだ」と話す。

 陝西省身体障害者補助器具中心・盲導犬発展サービス中心は2016年に設立された。障害者事業の推進機関である中国残疾人連合会の許可を得て、盲導犬の繁殖と育成、訓練などを行う非営利団体だ。現在、5人の訓練士と26匹の訓練中の盲導犬「候補生」がいる。訓練に合格した盲導犬は、無償で視覚障害者に提供されるという。

 中国での盲導犬の育成はまだ足を踏み出したばかりの段階で、専門の訓練施設も西安、大連(Dalian)、鄭州(Zhengzhou)、上海市など含め6か所しかない。

 李訓練士は、「西安市民の盲導犬訓練に対する大きな理解とサポートには、大変感謝している。訓練施設を今後発展させるため、政府と社会のさらなる協同と、さらに多くの政策や資金サポートを必要としている」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News