【9月2日 AFP】ウクライナ治安当局のおとり捜査で自身の殺害を偽装して世界を驚かせたロシア人ジャーナリスト、アルカディ・バブチェンコ(Arkady Babchenko)氏をめぐり、実際に同氏の暗殺を計画したとして逮捕・起訴されていた男に禁錮4年6月の判決が言い渡された。ウクライナの治安当局が1日、明らかにした。

 今年5月、ウクライナ当局は反ロシア政府派のバブチェンコ氏が自宅で暗殺者に銃で撃たれ殺害されたと発表。ロシアとウクライナ双方に衝撃が走ったが、翌日の記者会見にはバブチェンコ氏本人が登場。世界を驚かせると同時にジャーナリストや報道の自由を支持する団体からは非難の声も上がった。バブチェンコ氏の暗殺を偽装したウクライナ当局は激しい批判を浴びたが、偽装は実際に暗殺を阻止する唯一の手段だったと主張していた。

 バブチェンコ氏をめぐっては5月、ロシアの情報機関に雇われて同氏の暗殺計画を企てた疑いでウクライナ人の武器製造業者、ボリス・ゲルマン(Borys German)被告が逮捕・起訴されていたが、ウクライナ保安局のワシル・グリツァク(Vasyl Grytsak)長官は1日、ゲルマン被告がロシア政府に批判的なバブチェンコ氏の暗殺計画を手助けした罪で有罪となり、キエフの裁判所で8月30日に4年6月の禁錮刑が言い渡されたと述べた。ゲルマン被告は罪を認め、ウクライナ当局への捜査協力に応じているという。

 ゲルマン被告については、ウクライナ東部の分離独立を求める親ロシア派と戦った経験を持つウクライナ正教会の元神父、オレクセイ・ツィムバリュク(Oleksiy Tsymbaliuk)氏が、被告から報酬付きでバブチェンコ氏の暗殺実行を持ち掛けられたと明らかにしている。(c)AFP