■「米大統領の振る舞いとしては最も見苦しい」

 2016年11月、トランプ氏は民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏を破り、次期大統領となることが決まった。その後、首都ワシントンの国会議事堂で次期大統領について報道陣から質問攻めに遭ったマケイン氏は、「私にドナルド・トランプについて聞かないでくれ。私は誰かに対して失礼な態度を取りたくないが、彼については質問されたくない」と感情を高ぶらせた。

 討論会でその手腕を発揮し、長年の規範や内外政策における信条を打ち破って米国の大統領となったトランプ氏を認めることは、マケイン氏にとって耐え難いことだった。

 特に、米大統領選におけるロシアの干渉を断固として認めず、何ら対策を講じないトランプ氏の態度には、ことさら憤慨した様子を見せた。

 フィンランドの首都ヘルシンキで7月に行われた米ロ首脳会談で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の肩を持ち、トランプ氏が寛容的な態度を示した際には、「今日、ヘルシンキで行われた記者会見は、私の記憶にある限り、米大統領による振る舞いとしては最も見苦しいものの一つだった」と批判的なコメントを発表し、その怒りを爆発させた。

■トランプ氏への当てこすり

 ベトナム戦争での体験は、マケイン氏の人生において大きな意味を持っていた。2017年10月のインタビューでは、米国での兵役について触れた。

 マケイン氏は、「どうしても容認できないことがある。米国では、低賃金で働いている人々が兵役を課される一方、超富裕層は骨の損傷に言及してくれる医者を見つけることができる」と述べ、「それは間違っている」と続けた。

 この「健康上の理由による徴兵猶予」についての言及は、ほかならぬトランプ氏への当てこすりであることは明白だ。

 両者の険悪な関係は、マケイン氏の体調が悪化するなかでも変わることはなかった。今月、マケイン氏の名前を冠した防衛予算法の署名式でトランプ氏の口から、その名前が出ることはなかった。(c)AFP/Ivan Couronne