■30万人近くの雇用に影響も

 カリフォルニアには農業だけでなく、半導体や自動車などさまざまな産業が集積。域内総生産(GDP)の規模は2兆7000億ドル(約300兆円)超と世界5位で、英国1国をもしのぐ。

「米中貿易戦争の影響を最も受ける地域を一つ挙げるならロサンゼルスだ」。そう危惧するのは、ロサンゼルス港(Port of Los Angeles)国際貿易部門の元トップで、現在はNGO「ワールド・トレード・センター・ロサンゼルス(World Trade Center Los Angeles)」の会長を務めるスティーブン・チャン(Stephen Cheung)氏。同氏によると、ロサンゼルス圏にある港と中国との昨年の貿易額は1700億ドル(約18兆9000億円)超に達した。「中国はわれわれの一番の貿易相手国だ」(同氏)

 雇用も減る恐れがある。NGOのカリフォルニア予算・政策研究センター(California Budget & Policy Center)は、米中貿易戦争によって影響を受けかねない州内の雇用が28万5000人余りに上ると警鐘を鳴らしている。

 カリフォルニア州に対する中国の投資も冷え込みかねない。チャン氏は現在の貿易摩擦によって「州の経済は既に打撃を受けている」と述べ、紛争が収まってきても通常の状態に戻るにはしばらく時間がかかるとの見通しを示している。(c)AFP/Javier TOVAR