【8月26日 AFP】ミャンマー軍の弾圧によってイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)70万人が国外へ流出するきっかけとなった、ロヒンギャ武装組織による警察施設襲撃から、25日で1年を迎えた。ミャンマーと国境を接するバングラデシュ南東部コックスバザール(Cox's Bazar)では、ロヒンギャ難民ら数万人が「正義」を求めてデモ行進した一方、武装組織も声明を発表し、襲撃はロヒンギャを迫害から守るためだったと主張した。

 ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州では昨年8月25日、ロヒンギャの武装集団「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」が警察施設を襲撃。これが苛烈な弾圧を招き、国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」によれば、7000人近いロヒンギャが最初の1か月間で死亡した。

 この事態を受けて約70万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに殺到。徒歩、もしくは脆弱(ぜいじゃく)な船で流入した難民たちは、レイプや拷問、家屋の焼き討ちなどの被害を受けたと訴えている。

 こうした中、ARSAは25日、ツイッター(Twitter)で声明を発表。ロヒンギャの保護と祖先伝来の地への安全かつ尊厳ある帰還を確かなものとすることは、ARSAの「正当な権利」だと主張した。

 ただ、ロヒンギャの人々がバングラデシュにある難民キャンプで劣悪な生活を強いられるという人道危機の一因を担ったARSAが、幅広い支持を得られているかどうかは分かっていない。

 その一方、コックスバザールのクトゥパロン(Kutupalong)難民キャンプでは、「二度と繰り返すな:ロヒンギャ大量虐殺(ジェノサイド)の日、2018年8月25日」と書かれた巨大な横断幕を掲げ、「我々はロヒンギャ、我々は正義を求める」などと声を上げながら行進した。

 地元の警察署長はAFPに対し、推定4万人が行進および集会に参加したと語った。

 世界最大の難民キャンプとされる同キャンプはバングラデシュ当局の厳格な統制下に置かれているものの、平和裏にとはいえ、ロヒンギャの人々が怒りの声を上げて行進や集会を実施するのは例がないという。

 映像は、コックスバザール近くのウキヤ(Ukhia)地区にあるロヒンギャ難民キャンプ。(c)AFP