「記憶に留めておく一枚の報道写真」

群れから少し離れて息絶えている羊を見て何を思うだろう。可哀想、という感情かもしれない。しかしこの写真を選定した理由は憐みではなく水不足に対する危機感を覚えたからだ。
現在世界は大変な水不足にさらされ、亡くなる子供は年間約180万人とも言われている。また、水を得るために自分の人生を毎日消費している存在がいることも事実だ。
たまたま日本に生まれた私は、水が不足している実感すら得ていないのに、だ。先進国と分類された国の人間は、水をはじめとする環境問題に対する行動する力が弱い。日々の生活に追われ、環境問題への取り組みは+αの任意事項になっているのではないか。
だが、ふと立ち止まって考えてみれば自分が当事者にならない保証はどこにもない。実際に写真が撮られたのはポルトガルである。
倒れている羊と周りの羊はまるで世界の縮図のようだと思った。私たちは日々消えていく命を黙って黙認していいのだろうか。自分に何ができるのかを考えなくてはならない、そんな境地に面しているのかもしれない。


東京女子大学 徳永遥香 資源環境セクション