■早期発見のメリットは?

 専門家らによると、アルツハイマー病による脳の損傷は、記憶障害の兆候が現れるより最長で20年も前から始まる可能性があるという。

 認知症の中でも最も症例が多いアルツハイマー病は、治療法が存在しない。だが、より早期に発見することで、薬剤やライフスタイル改善などの介入によって病気の進行を食い止められる可能性がある。

 医師らは現在、アルツハイマー病診断の助けとするためにPET検査や腰椎穿刺(せんし)などを利用しているが、これらはどちらも高額で体に負担がかかる検査技術だ。

 今回の研究で用いられた技術は「光干渉断層血管撮影(OCT-A)」と呼ばれる種類のもので、目の中を光で照らし、網膜や視神経の厚みを測定するのに広く使用されている。

 網膜と中枢神経系は相互に接続されているため、脳内の変化が網膜の細胞に反映されている可能性があると、研究チームは指摘している。

 論文の執筆者らは、この技術がより大きな母集団で正しく機能するかどうかを確認するためにさらに研究を重ねる必要があることは認めつつも、40歳代から50歳代の人々を対象としたスクリーニング検査の助けとなる日が来る可能性があると期待を寄せている。(c)AFP/Kerry SHERIDAN