【8月23日 CNS】上海財経大学高等研究院(Institute for Advanced Research of SUFE)がこのほど発表した研究報告書「家計債務危機の警鐘およびそれにより起こり得る金融リスク」によると、2017年までの中国家計債務が国内総生産(GDP)の48%を占めた。それほど高い数字にも見えないが、ほかの先進国と比較するとはるかに高い数字だ。

 公開資料によると、中国は13年9月、世界で貯蓄金額が最も多い国だった。個人の平均貯蓄額も3万元(約48万4000円)以上と最も多く、当時の貯蓄率は50%を超え、世界の平均水準を大きく超えていた。

 その貯金好きな中国人の家計が近年、なぜ負債の割合が高くなっているのだろうか。

 報告書によると、17年の家計の可処分所得に閉める債務の比率は107.2%に達している。これは、現在の米国水準を上回り、しかも米国の金融危機発生前の数値に近い。

 また、中国の家計債務の多くが住宅のローンに当てられているとされ、頭金の支払いに消費者金融などを利用しているため、金融リスクをさらに増大させていると指摘している。

 これについて中央財経大学(Central University of Finance and Economics)金融学院の郭田勇(Guo Tianyong)教授は、「家計に占める負債率の上昇は住宅価格の高騰によるもので、市民の多くが借金をして購入している。自宅購入費の支出が給与所得者の収入を超えていることが、この高い負債率を形成している」と分析している。

 国家行政学院(Chinese Academy of Governance)の胡敏(Hu Min)研究員は、「近年は90年代生まれの若い世代が都市部に移り、結婚などのために住宅の購入に迫られている。しかし一級、二級、三級都市を含めた住宅価格の高騰で、所有する貯金では購入することが困難で、ローンに頼らざるを得ない」と補足している。(c)CNS/JCM/AFPBB News