■「大根役者が法外な報酬要求する」

 数年来、優酷、愛奇芸、テンセントなどの動画配信プラットフォーム間の競争は熾烈だ。皮肉なことに、誰もこの競争に負けることなく、仲良くそろって巨額の出演料と巨額の知財権料を負担している。監督の宋方金(Song Fangjin)氏は、「声明を発表した番組製作会社自身が、巨額な報酬問題を創り出した張本人だ」という。

 実際、近年は著名な出演料の高い俳優が輝きを失い、批判を浴びている。こうした背景もあって、作品は高い質が求められ、「劇は天より高く(作品の質が俳優より優先の意)」が徐々に「数で勝負」にとって代わりつつある。

 テレビドラマの流れも、「人が劇を作り上げる」から「劇が人を作りだす」に替わりつつある。宋監督は、「モラルのある優良な俳優の出演料は、正常なレベルにあって決して巨額とは言えない。法外な出演料を要求するのは、まさに演技のできない大根役者だ」と言い切る。

 しかし一方では、今回発表された声明について、業界関係者はみな政府の動きを待って事態を見守っている人が大多数だという。映画制作者の董乗嘉(Dong Chengjia)氏は、「共同声明は政府が出したものではないので、実行するには難しさがある。紙に書くだけでは足りず、業界全体が本気で実行しなければならない」と話している。

 また、出演料の制限は、「上に政策あり下に対策あり」のモグラたたきゲームになるだけだと批判する人もいる。梁振華(Liang Zhenhua)監督は「真に影響力のある映画スターは、出演料に上限が設けられれば、出演料という金銭を受け取る以外にも、番組の製作・営業・販売などのプロセスの中に入り込み、株式保有などによって経営者として参画し、製作側の立場で最大価値を求めていくかもしれない」と語る。(c)CNS/JCM/AFPBB News