【8月17日 AFP】フランスの有名シェフ、アラン・デュカス(Alain Ducasse)氏(61)が、パリのエッフェル塔(Eiffel Tower)内にあるレストラン「ジュール・ベルヌ(Jules Verne)」から不当に追放されたとして16日、裁判を起こした。

 最も知名度の高いフランス人シェフの一人であるデュカス氏は、過去10年にわたってエッフェル塔の2階にあるジュール・ベルヌに君臨してきた。昨年7月、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が訪仏した際にも、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領が同店で夕食会を開き、ファストフード好きで知られるトランプ氏を豪華な革命記念日(Bastille Day)のディナーでもてなした。

 ところが、最近行われた同店とエッフェル塔1階にあるブラッスリーなどの運営契約の競争入札で、やはりスターシェフのフレデリック・アントン(Frederic Anton)氏とティエリ・マルクス(Thierry Marx)氏のコンビが今後10年間の運営権を勝ち取り、デュカス氏はエッフェル塔から降ろされる形となった。

 デュカス氏の弁護団は、入札で審査を行ったコンサルティング会社は過去にアントン氏とマルクス氏のマネジメントを行っていた事務所と取引があり、利益相反に当たると主張。

 またデュカス氏は世界各地で展開する自らの店で、高級レストランガイドブック「ミシュランガイド(Michelin Guide)」の星をこれまでに計21個獲得しており、伝説的シェフだったジョエル・ロブション(Joel Robuchon)氏が今月初めに亡くなった今、デュカス氏こそが「世界一多くの星を獲得しているシェフ」だと強調した。

 一つ星レストランのジュール・ベルヌは、ルーブル美術館(Louvre Museum)から、セーヌ(Seine)川左岸にあるナポレオン(Napoleon)廟(びょう)の金色のドーム、アンバリッド(Invalides)まで、地上125メートルからパリの景観を一望できる絶好のロケーションを誇る。料金はそれを反映し、デュカス氏による5品のディナーコースが190ユーロ(約2万4000円)となっている。

 エッフェル塔運営会社SETEは、アントン氏とマルクス氏が選出された理由について、さまざまな予算に合わせたメニューを提案しており、地産食材の優先やごみの最小限化で環境にも配慮していることから「質の面で大きな飛躍」が期待されると説明している。

 マルクス氏はパリの高級ホテル「マンダリン・オリエンタル(Mandarin Oriental)」にある二つ星レストラン「シュール・ムジュール(Sur Mesure)」のオーナーシェフだが、失業者向けに無料の調理講習を始めたことでも称賛されている。一方、アントン氏はパリ西部のブローニュの森(Bois de Boulogne)にある三つ星レストラン「プレ・カトラン(Pre Catelan)」のシェフ。両氏がジュール・ベルヌを引き継ぐのは10月の予定。

 裁判所は入札プロセスの合法性について、今月28日に判断を下す見通しとなっている。(c)AFP