■赤潮が死因に?

 スペックの死因については、今後数週間以内に出される見通しとなっている研究所での検査結果を待たないと、確実なことは何も分からない。現時点では赤潮が原因で死んだと推測されている。

 ここでの赤潮は、米メキシコ湾(Gulf of Mexico)に生息する単細胞微生物「カレニア・ブレビス(Karenia brevis)」によって引き起こされる。この微生物は強力な神経毒を放出し、その毒素が風にのって運ばれると、人体へも影響を及ぼし、頭痛、涙目、せき、ぜんそく発作といった症状が出る。

 カレニア・ブレビスは年間を通して低濃度で存在している。だが、ひとたび増殖すると、ウミガメやマナティーがこれを吸入したり、神経毒が蓄積した魚や海草を大量に食べたりして、死ぬ恐れがある。神経毒は、方向感覚の喪失、協調運動障害、異常行動などの症状を引き起こす。

 フロリダで現在起きている赤潮の大量発生は2017年10月に始まったが、最近の数週間で大幅に悪化した。

 赤潮は時に拡大したり衰退したりしながら、フロリダ州タンパ(Tampa)からネイプルズ(Naples)まで320キロ近くにわたる海岸に押し寄せた。

 同海域では、産業化した農業や不適切な廃水処理が有毒な藍藻(シアノバクテリア)の増殖を助長していると考えられており、別の大きな問題となっているが、これと同じことが赤潮にも当てはまるかもしれないと、専門家らは指摘している。

■観光業に打撃

 腐敗が進む魚の悪臭は、フロリダの経済にボディーブローのように影響しており、最盛期の観光業や漁業から数百万ドル(数億円)に及ぶ収入を徐々に奪っている。

 そのため地域住民らは、エバーグレーズ(Everglades)大湿地帯を通って南へ向かう水流を回復させる、海を汚す物質を沿岸に至る前に浸出させるための内陸の貯水池を建造する、化学肥料の使用量を減らすといった対策の実現に向けて、議員や政府当局者が動くことに期待を寄せている。

 しかし現状では、赤潮の大発生には終わりが見えていないという。映像は、14日撮影。(c)AFP/Kerry SHERIDAN