【8月18日 東方新報】日本を代表する狂言師による「日中平和友好条約」締結40周年を記念した狂言公演が北京市で開催された。狂言師の野村万作(Mansaku Nomura)、野村萬斎(Mansai Nomura)父子が主催する公演が同市の北京天橋芸術中心(Beijing Tianqiao Performing Arts Center)で10日に行われた。翌日に在北京の日本大使館で行われた狂言講座と合わせ、日中両国のファンが会場に足を運んだ。

 公演では、日本の横井裕・駐中国大使が、「野村万作氏は、狂言の人間国宝(重要無形文化財保持者)だ。狂言の普及に全力を尽くし、両国の文化交流に積極的な努力をしてくださっている」と紹介した。

 狂言は、歌謡や舞踊を中心とした悲しい物語の多い能とは違い、台詞や役者の動きが中心で、通常の生活の中での笑い話のような物語が多い。

 能と同様に日本の古典芸能であり、中国の伝統演劇との共通点も多い。

 今回、主催者側で販売したチケットは30分程度で完売。別ルートで販売された一部のチケットには、10倍以上の価格がついたという。

 今回の公演で野村さんらは、男2人が手を縛られたまま主人の留守中に酒を飲むため知恵を絞る「棒縛(ぼうしばり)」、地蔵に祈って目が見えるようになった男と妻とのやりとりを描く「川上(かわかみ)」、庭に生えた巨大キノコ退治に山伏が挑む「茸(くさびら)」を披露した。

 公演後、取材に応じた萬斎氏は、「観客の声を上げて笑う姿を見て、とても嬉しく思いました。『喜び笑う』ことに国境は無く、狂言を通じて『和』の精神を伝えられると自信をさらに深めました」と話した。