「記憶に留めておく一枚の報道写真」

バスの窓に映るのは監視している治安当局のメンバーの姿と荒れた大地。それと対照的な子どもの力強いまなざしに一目見て惹かれ、この写真を選んだ。難民の避難生活は長期に及ぶ。特に避難先で生まれた難民二世の子どもたちはふるさとの景色すら知らない。私たちには想像できないような過酷な現実がある中、その力強いまなざしに宿った希望を決して消してはいけない。ただ、ふるさとに戻るだけではなく、将来のためにも子どもたちの目に美しいふるさとの風景を取り戻さなければならないと強く感じた。

明治大学 石田希環 難民セクション

■優秀賞
[講評] 野末俊比古(青山学院大学教育人間科学部教授)
バスに乗り込んだ少年に目が行った後、窓に映り込んだ風景に気づいたときに、私たちはタイトルの意味を理解することになります。「難民」というテーマをめぐって、無数の写真からこの一枚を選んだ感性あるいは知性と、素直に綴られた文章に込められた意思あるいは決意は、まさに「記憶に留めたい」と思わせるものでした。