【8月14日 AFP】小さなロボットのウエーターがくるくる移動しながらテーブルまで料理を運ぶ。ガラスのふたを開けると上海風ザリガニ料理から湯気が立ち上り、ロボットが低い機械的な声で「ごゆっくりお楽しみください」と告げる。

 この未来的なレストランは、中国の電子商取引大手アリババ(Alibaba、阿里巴巴)が手掛ける「Robot.He」だ。中国では商取引におけるロボットと人工知能(AI)の活用が広がっており、同社もサービスと小売りの近代化を推進している。

 Robot.Heは、効率化と人件費削減を目指している。人間の代わりに電子レンジほどの大きさのロボットがウエーターとなり、テーブルの高さに設けられたレーンの上を動き、料理を運ぶ。

 アリババの製品マネジャーで、このレストランのコンセプトを開発した曹海涛(Cao Haitao)氏は、「上海では、ウエーターの賃金は最高で月1万元(約16万円)で、毎年何十万元もかかる。2交代制勤務にする必要もある」と語った。

 レストランは、アリババの半自動化された生鮮スーパー「盒馬(カバ、Hema)」に併設されている。このスーパーでは、買い物客が携帯アプリ上の「買い物かご」に入れた商品が、天井のレールによってレジまで運ばれる。家まで配達してもらうことも可能だ。

 業界の専門家は、中国では人件費が比較的安いため、この事業はアリババの本格的なビジネスモデルというよりも、同社の優れた技術力を紹介する役割を果たしていると指摘する。

 中国では今やモバイル決済が現金に代わろうとしており、レジのない薬局、書店などの小売店が増えている。客はロボットとやり取りして、欲しい商品の注文や購入をすることも多い。

「以前は、どの企業も急速に事業拡大していた。今では成長が終わり、業務改善に焦点を当てなければならなくなった」と、米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)の中国小売り専門家ジェイソン・ディン(Jason Ding)氏は述べた。