■「その日暮らし」

 ゴールデン・ゲイがラマサミさんの家族となり、また実生活からの避難場所となった。仕事は皿洗いとして1日15時間のシフトで働き、日給約2ドル(約220円)の稼ぎだ。「でも気分はいい。特に今日みたいに、ゴールデン・ゲイの皆が集まった時は」とラマサミさんはショーの後で語った。

 人類学者のマイケル・タン(Michael Tan)氏によると、先進国と比べて年金制度や医療制度などが脆弱なフィリピンでは、高齢者の暮らしは全般的に楽ではない。さらにゲイの男性の場合は、おいやめいを支援したり、養子を迎えたりしている人が多いにもかかわらず、頼れる実子はおらず、立場がいっそう厳しい。

 フィリピン人口1億500万人の多数を信者とするカトリック教会は現在も、この国の社会の一大勢力であり、同性愛者に対する差別反対法に抵抗している。

 ゴールデン・ゲイのブサ氏は、自分たちは定住できる新たな家を必要としていて、できれば寛大な寄付者が支援してくれればと述べた。だが、自分たちの家があってもなくても、ゴールデン・ゲイは生き続けるとブサ氏。「こうやって私たちは生きてきた。その日暮らしだが、気持ちを平静に保ち、生きる意欲を維持しなければならない」「それは実に困難だけれど、そうするしかない」

(c)AFP/Joshua MELVIN