【8月12日 東方新報】北京の全聚徳(Quanjude)という名前を聞けば、長らく「北京ダック」の代名詞であり、海外からの観光客が必ず立ち寄るレストランとして知られる老舗の名店である。

 しかし、新興店台頭による業界内の競争が過熱し、消費者の世代交代などもあり、全聚徳の経営危機もそう遠くないところまできている。

 154年の歴史を誇る全聚徳も「寄る年波には勝てぬ」所まで来ているのではと話す業界の関係者もいる。

■観光シーズンにも関わらず閑古鳥

 記者は7月下旬、北京市の全聚徳の什刹海(Shenchahai)店、王府井(Wangfujing)店など数店舗に足を運んでみた。しかし、夏季の旅行シーズンを迎えている最中でありながら空席がかなり目立っていた。店の前に観光客が行列をなす光景を見ることもない。

 かつて全聚徳は、観光客が北京に訪れた際には必ず立ち寄る場所とまで言われていた。しかし、記者が現場で見た限り、そのような面影は一切感じられなかった。中国の老舗北京ダックブランドを誇っていたが、「全聚徳こそが本場北京ダックの名店」という消費者の認知度も、徐々に薄れつつあるようだ。

 北京に訪れたある観光客は、「北京に来た時には必ず北京ダックを食べるけれど、スマホで店舗情報を調べてみると全聚徳の評価がそれほど高くない。店の雰囲気も普通で目新しさもないので、評価がさらに高い別の北京ダック店を選んでしまう」と話す。