■「法の執行と司法の慣行」の問題

 キルギスで「アラカチュー(Ala Kachuu)」として知られる誘拐婚の風習は、過去の遊牧生活の時代にそのルーツをの持ち、旧ソ連時代にも細々と続けられていた。

 一部の専門家は、この風習が続いていることの背景には、キルギス社会の保守主義、近隣諸国に比べ見合い結婚の文化が根付いていないこと、さらには結婚持参金の用意を困難にしている地方部の貧困などがあるとしている。

 キルギスでは、誘拐婚で有罪となると最長7年の実刑判決を言い渡されるが、一部からは法律が適切に運用されていないとして批判の声が上がっている。

 キルギスで国連開発計画(UNDP)のジェンダー・コーディネーターを務めるウムタイ・ドレトワ(Umutai Dauletova)氏は、「法の執行と司法の慣行」に問題があると指摘し、昨年UNDPが行った調査では、誘拐婚に関する刑事事件の約70%がうやむやになっている実態が判明していると語った。

 UNDPが引用した政府データによると、キルギスでは結婚の5分の1が誘拐婚によるものとなっているが、昨年中に誘拐婚の罪で実刑判決を言い渡されたのはたった1人だった。(c)AFP/Tolkun Namatbayeva