【8月14日 AFP】あでやかな女性たちが踊りを見せつけ、ポップな音楽が鳴り響き、「キスカメラ」が無防備なカップルに狙いを定める。バスケットボールや野球の試合の話ではない。実はこれは、どれも中国・南京(Nanjing)で行われた世界バドミントン選手権(2018 TOTAL BWF World Championships)での一幕だ。バドミントン界では現在、世界バドミントン連盟(BWF)主導で、若者を中心とした新規ファンを囲い込む試みが行われている。

 会場を訪れたBWFのトマス・ルンド(Thomas Lund)事務局長は、「われわれは、自分たちを一つのエンターテインメント産業とみなすようになってきています。単なるスポーツ娯楽産業ではありません。これは意図的な判断です。われわれはテレビで、SNSで、ネットで、消費者の時間と関心を勝ち取りにいきます。バドミントンにのめり込み、競技のことを考える人を増やしたいのです」と話す。

 その結果、会場では試合と試合の間にすさまじい大音量で音楽がかかり、派手なスポットライトが観客席にも降り注ぐようになった。映像判定の間にはズンズンという「鼓動」に似た音が鳴って観客を盛り上げ、さらには客席のカップルを大型スクリーンに映してキスを促す「キスカメラ」もフル活用された。

 そして選手たちは、まるでロックスターのようにコートへ向かった。バドミントンで五輪に出場した経験もあるルンド事務局長は「今重要なのは、コートやまわりの部分ではなく、選手が目立つ仕掛けを考えることです」と説明する。

「選手をどうプロデュースするか。見た人にスターとしての選手を印象づけ、選手をスターとして売り込むにはどうすればいいか。つまりはいかにして劇場をつくり出すかという話です」