■20年前のITバブルと異なる点は?

 20年前は、創業間もないスタートアップ企業がウェブサイトを開設さえしていれば、事業計画が明確でなくても投資家が手当たり次第に資金を提供した。「こうした企業の大半には収益がなく、売り上げすらもなかったが、非常に高い評価額で資金を調達していた」と、米投資会社タワー・ブリッジ・アドバイザーズ(Tower Bridge Advisors)のポートフォリオ・マネジャー、マリス・オッグ(Maris Ogg)氏は言う。「インターネットやITの未来に、誰もが期待していた。だが、20年ほど早すぎた」

 ベンチャーキャピタルはドットコム・バブル崩壊以降、収益性のしっかり見込める事業計画を持たないスタートアップ企業への投資を避けるようになった。また、オッグ氏によるとITバブル崩壊を機に、IT大手を「懐疑的に見る健全さ」が大いに広がったという。2000年代初頭には見過ごされていた株価収益率(PER)も、改めて重視されるようになっている。

■ハイテク業界の主なリスクは?

 グーグルやフェイスブックといったIT大手は、圧倒的な影響力を持つがゆえに当局の規制や制裁の標的となっている。この点は、成長鈍化や収益悪化を招くリスクといえる。投資家は投資ポートフォリオを定期的に見直し、急成長IT企業の比率が大きくなりすぎないよう留意する必要がある。結局、どんなIT企業も後発企業に追い越されるリスクを抱えている。

「あらゆるIT企業は、自社より少しでも賢明な同業他社にかき回されることには弱い」と米資産運用会社ブラックロック(BlackRock)のグローバル資産配分チームのポートフォリオ・マネジャー、ラス・ケステリッチ(Russ Koesterich)氏は分析する。

 ケステリッチ氏は具体例として、スマートフォン市場では金融危機の際にフィンランドのノキア(Nokia)が市場シェア45%を誇っていた一方、アップルの「iPhone(アイフォーン)」は発売から1年を迎えたばかりで、フェイスブックも産声を上げた直後だったと指摘。その上で「(ハイテク)業界の収益性は、飛びぬけて高い状況が続く。真逆の観測もあるが、時価総額は妥当な水準だ」との見方を示した。(c)AFP/Juliette MICHEL