【8月4日 東方新報】普段、夜は一人で寝るという四川省(Chengdu)成都市(Chengdu)に住む雅ちゃん(12)。しかし7月24日の夜は、慌てて隣の部屋にある母親のベッドにもぐりこんだ。

 母親の周さんが理由を尋ねると、雅ちゃんが2年前インターネット上で「ブルー・ホエール(Blue Whale)」というゲームサイトを偶然開いた時に、腕にクジラの絵が入っている写真やナイフの画像を見てしまったのだという。それを突然思い出し、怖くなってしまったのだという。

「ただサイトを開いただけで、ゲームは遊んでない」。ゲームには一切関わっていないと説明する雅ちゃんだが、両親は、普段は活発な子が急に内向的になり、一人で眠ることを恐れたり、1日中おびえたりしていることに気付いた。

 雅ちゃんが見えた情緒不安定さは、恐れているものが実在するものなのか、それとも想像によるものなのか本人も分からず、いつも何かが起こるのではないかという恐怖におびえている。

 雅ちゃんはそれから、「気持ちが落ち着かない、1日中気持ちが落ち着かない」と、3日ほど繰り返していたという。

「とても恐いの『ブルー・ホエール』が。相手が私を探してるようで、もし何かが起こったら恐いの」と漏らした。

■急に臆病になった娘

 周さんは初め、「ブルー・ホエール」が何のことだかさっぱりわからなかった。インターネットで検索し、事の重大性に気付いた。

 娘の通う学校でも、ほかの児童らと「ブルー・ホエール」が話題になったことがあり、恐がっていたことを知った。「子どもたちの間で、もし拡散されたら… 想像するだけでも恐ろしい」と話す。

 一般的に、ブルー・ホエールに関わったユーザーには自傷行為がよく見られるという。周さんは、「娘の手などにそういった傷跡は見られなかった。しかし以前は外交的で活発だった子が、急に内向的な性格に変わってしまった。クラスメイトと遊ばなくなったし、家でテレビばかりをみるようになった」

 周さん夫婦は最近、雅ちゃんに気晴らしにと外へ遊びに連れ出した。しかし雅ちゃんは、遊園地のハシゴを登るのを恐がるなど、必要以上に臆病になったり、恐がったりしているという。また、雅ちゃんは家のパソコンをもう見たくないと言って、パソコンを売るか捨てるかしてほしいと頼んできたという。

 雅ちゃんは、ゲームについて「とても残忍で恐いゲーム」だと同級生から聞いたという。「ゲームに参加すると、最後に自殺しなければいけないとか、本当に恐かった。参加者が私を探しきて、何かが起こるんじゃないかと、いつも怖かったの。もう、パソコンからも携帯電話からも、インターネットはやっていないよ」

■子どもがブルー・ホエールに接触してしまったら

 親子教育の専門家で、心理学者の唐映紅(Tang Yinghong)氏は、ブルー・ホエールの危険性はとても高く、特に青少年に対し極めて悪質な誘導作用があると指摘する。

「思春期の青少年は好奇心も旺盛で、社会での経験もない。反抗期などの時期にこのようなゲームに触れ、深くはまり込むことがあれば、参加者に脅迫され両親に相談することすらできない状態にまで追い込まれる」

 また唐氏は、青少年がこのようなゲームに陥ってしまう主な原因には、保護者の子どもに対する関心の低さに問題があると分析している。保護者は普段から子どもと多く接し、悩みを理解し、心理的な負担を軽減してあげることで、表面には現れない精神的な問題を取り除くことができるとしている。(c)東方新報/AFPBB News