【7月29日 AFP】ロシア各地で28日、年金支給開始年齢を引き上げる政府計画への抗議デモが行われ、数万人が参加した。政府提出の年金改革法案が国会で審議され、同案への反発が高まる中、共産党(Communist Party)がデモを主催した。

 デモは許可を得て行われたもので、主催者発表によれば首都モスクワでは最大10万人が参加した。一方、報道された参加者数はこれを大きく下回り、1万人前後と伝えられている。

 デモは極東(Far East)、シベリア(Siberia)や西部にある数十の市町で実施された。モスクワでは参加者が「プーチンに年金を渡して引退させろ!」と声をそろえ、「私たちは年金で暮らしたい。働きながら死にたくない」などのスローガンが書かれた横断幕を掲げた。

 年金改革案はウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領率いる与党の支持を受けており、市民が公に反対を表明することは少ないが、今回はすでに290万人が抗議の請願に署名。与党に追従することの多い共産党も反対している。

 プーチン大統領は今年3月の大統領選で年金改革に言及しなかった上に、過去には年金支給開始年齢は引き上げないと公約していた。国営世論調査会社VTsIOMによると、同大統領の支持率は5月には80%だったが、今月は64%に低下した。

 ロシアの年金支給開始年齢はソビエト連邦時代に定められた女性55歳、男性60歳のままとなっており、今回の年金改革法案はこれを女性63歳、男性65歳まで段階的に引き上げるとしている。

 共産党のゲンナジー・ジュガーノフ(Gennady Zyuganov)党首は、ロシア人男性の平均寿命は60歳代前半だとし、「彼らは皆、棺桶の中で年金を受け取ることになる」と述べた。(c)AFP/Ivana JURISA with Marina Koreneva in Saint Petersburg