【7月28日 AFP】サッカー選手のメスト・エジル(Mesut Ozil)が人種差別を理由にドイツ代表から引退したことを受け、ドイツ国内では現在、同選手と同じく移民のバックグラウンドを持つ数千人の人々が、「#MeTwo」というハッシュタグを使って日々経験している差別や偏見を共有する動きが広まっている。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と並んで写真を撮影したことで人種差別を受けたエジルは21日、一連の声明文を投稿してドイツ代表からの引退を電撃表明した。その中で「私にはドイツとトルコ、二つのハートがある」とつづり、W杯ロシア大会(2018 World Cup)でドイツが敗退した際に自身の愛国心を疑問視されたり、名指しで批判されたりしたときに擁護する姿勢を示さなかったドイツサッカー連盟(DFB)を非難した。

 一連の騒動を受け、ドイツメディアで人種差別と統合に関する議論に火がつくと、トルコにルーツを持つ作家で活動家のアリ・カン(Ali Can)さんは今週初め、女性に対する性的嫌がらせや性的暴行被害の告発運動「#MeToo(私も)」と、エジルが発した「二つのハート」という言葉をもじって今回のムーブメントを開始した。

 幼少期からドイツに住んでいるカンさんは、インターネット上に投稿した動画の中で「移民のバックグラウンドを持つ人々に、#MeTooのような議論が必要だ。私のアイデンティティーは一つだけじゃない。ドイツも落ち着くが、同時に別の国ともつながっているように感じる」と話した。

 ハッシュタグ#MeTwoはすぐさまネット上で広まり、ツイッター(Twitter)上でトレンド入り。週刊誌「デア・シュピーゲル(Der Spiegel)」の記者の一人は、「混雑した電車の中で自分が唯一の非白人だったときに警察が乗ってくると、身分証明書の提示を求められるのは私だけだ」とツイートした。

 あるツイッターユーザーは「トルコ人にしてはよく溶け込んでいるな」、「ヘッドスカーフはつけないの?」といった言葉は、自身が経験してきた「典型的な例だ」と指摘。他には、肌の色や外国の名前の響きであることを理由として、物件を探している際に大家から差別を受けるといった声も多く上がっている。

「全く同じオファーに対して、自分には返答がないのにドイツ人のガールフレンドにはすぐに返ってくる。でも、結婚して彼女が名前を変えると、彼女も回答されなくなった」

 ドイツのハイコ・マース(Heiko Maas)外相は、今回の動きによって多くの話を目の当たりにしたことで「胸を打たれたが、同時に心が痛む」とコメントし、称賛する姿勢を示している。「ドイツにおいて、もはや人種差別は問題ではないと思うのなら、ハッシュタグ#MeTwoが付けられた全てのツイートに目を通すことをお勧めする。いかなる時も、いかなる場所でも、このハッシュタグを使って人種差別に対して声を上げよう」 (c)AFP/Michelle FITZPATRICK