オランダで開催の国際エイズ会議、薬物依存との闘いを支援
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■「罰ではなく支援を」
伝染病学者で公衆衛生専門家のクリス・ベイラー(Chris Beyrer)氏は「進歩的な薬物政策は、HIVのまん延を抑える決定的役割を果たし得る」と強調する。同氏はアムステルダムの近くの薬物依存センター訪問中に「そのひとつが、人々がより安全で病気の感染につながらない方法で行うことを確保することだ」と強調した。
同センターではカウンセリングだけでなく、ヘロインを含めた薬物の純度と安全性についての検査も実施している。外来の患者の場合、費用は1件2.5ユーロ(約320円)だ。
専門家によると、オランダでは静脈注射によるHIV感染は非常にまれだ。同国には、注射針を交換する施設や安全に処置する場所が複数ある。
国際エイズ会議に配置されたアドバイザーの一人、イングリッド・バッカー(Ingrid Bakker)氏によると、最初の3日間で約20人がこのようなサービスを利用したという。同氏は小さなブースを身振り手振りで示し「資材はたくさんある」と言った。「この多くは注射用だ」
薬物患者の支援ネットワーク、インターナショナル・ドラッグ・ポリシー・コンソーシアム(International Drug Policy Consortium)を率いるアン・フォーダム(Ann Fordham)氏によると、世界で薬物を注射する人口のうち、HIV患者は、2011年から2015年の間に30%急増した。
同氏によると、薬物注射を行う人々のうち、注射針の交換プログラムが提供されている国に住む人は、1%に満たない。
同会議に参加の活動家らは「ドラッグとの闘いにただノーと言おう」と題する運動を開始した。米国の「ドラッグとの闘い」が頂点にあったときのロナルド・レーガン(Ronald Reagan)元大統領時代のスローガン、「ただノーと言おう("Just say no")」に真っ向から挑戦するものだ。
活動家が掲げたスローガンの一つには「ドラッグにはノーと言ったが、彼らは耳を貸さなかった」とあった。さらに別のスローガンは「支援しよう。罰するのはやめよう」と書かれていた。(c)AFP/Mariëtte Le Roux