【7月27日 AFP】米政府の代表団が今週、カタールでアフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)と和平交渉に向けた協議を行っていたことが分かった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)が26日、報じた。

 同紙は情報筋の話として、アリス・ウェルズ(Alice Wells)国務副次官補(南・中央アジア担当)が今週、17年にわたるアフガニスタン紛争の終結に向け、タリバンと接触したと伝えた。

 タリバン指導部の一人はAFPに、カタールの首都ドーハで23日にクエッタ軍事評議会(Quetta Shura)のメンバーらが米政府高官と会ったと認めた。ウェルズ氏の名前は出さなかったが、米代表団に「1人の女性」が含まれていたことを確認した。さらに、今回の協議は両者の信頼醸成を目的としたもので、早ければ今月31日に開かれる次回の協議はより重要なものになるとの見方を示した。

 米国務省は同紙の報道内容を直接認めていないが、ウェルズ氏が今週ドーハを訪問し、カタール政府高官と「アフガンの、アフガン主導による和平プロセスに向けた最近の進展について協議した」と述べた。

 6月にマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官がアフガン政府とタリバンの和平交渉について「支援、促進し、参加する」用意があり、外国のアフガン駐留部隊の役割も俎上(そじょう)に載せられるだろうと発言して米政府の政策転換をほのめかしていたが、米当局者は先週まで、「米政府はタリバンと直接交渉する用意がある」との報道を否定していた。

 また6月にはアフガン治安部隊とタリバンの双方が初めて同時に3日間停戦し、アフガン和平への希望が高まった。しかし戦闘は再開し、カブールにいる欧米やアフガニスタンの専門家は和平の機運を保つには米国がタリバンと直接交渉する必要があると指摘していた。

 タリバンは以前から米政府との直接協議を求めてきたが、米政府はアフガン政府主導で交渉すべきだとして繰り返し拒否してきた。それに対しタリバン側は、アフガン政府には正統性がないとして拒否してきた。ウォールストリート・ジャーナルは複数の米当局者の話として、今回のドーハでの協議にはアフガン政府も参加したと伝えている。タリバンがカタールに置いている対外連絡事務所は事実上の大使館となっている。(c)AFP