■「とてもうれしい」

 今回の総選挙を前にしてパキスタン選挙管理委員会(ECP)は、各選挙区の投票数の少なくとも10%が女性票でない場合には、選挙結果を無効にすると宣言していた。これを受けて、女性による投票が増加することへの期待が高まっていた。

 選挙管理委員会によると、急速な成長を遂げている人口約2億700万人のパキスタンで、新たに2000万人近くが選挙人名簿に登録し、うち913万人が女性だったという。

 投票数の全容はまだ明らかになっていないが、ラホール(Lahore)やカラチ(Karachi)などの主要都市では、投票所前で女性たちの列も見られた。

 だが、モーリプールでは異なり、投票立会人を補佐したアジア・ビビさんは「女性は一人も投票しなかった。驚いたし、動揺した」と語った。

 一方、他の保守的な地方都市の女性たちは、モーリプールよりも良い経験をしたようだ。特に顕著だったのが、北西部カイバル・パクトゥンクワ(Khyber Pakhtunkhwa)州のローワーディール(Lower Dir)地区だ。ここも女性による投票が許可されたのは初めてだった。

 サマルバグ(Samar bagh)町在住で3人の子を持つバクト・サニア・ビビさん(46)は、AFPの取材に対し「今日、投票に行った。自分の基本的な権利を手にして、とてもうれしく感じる」と語った。

 またコト(Koto)町在住で同じく初めて投票したサジダ・ハリームさん(27)は、2013年と2015年の選挙では投票を阻止されたと述べた。

 社会福祉学の修士号を持つハリームさんはAFPの取材に対し、「いつも、『なぜ男性たちが私たちのことを決めるのだろうか。私たち女性が彼らのことを決められるだろうか?』と思っていた」と話し、「今日、私は完全なパキスタン人になったと感じる。18歳の時から否定されてきた自分の権利を手に入れたのだから」と続けた。(c)AFP/Shazia Bhatti