【7月26日 AFP】紅海(Red Sea)で25日、航行中のサウジアラビアの石油タンカー2隻がイエメンの反政府武装組織「フーシ派(Huthi)」の攻撃を受けた。けが人や原油の流出はなかったとされるが、サウジ政府は紅海とインド洋(Indian Ocean)を結ぶ主要航路を通過するすべての原油輸送を一時的に停止した。

 サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ(Saudi Aramco)によると、攻撃されたのは同国の海運会社バリ(Bahri)が運営する積載能力200万バレルの輸送船2隻。うち1隻がわずかに損傷したという。「負傷者も原油の流出も報告されていない」としている。

 これに先立ち、サウジ主導の連合軍はサウジの石油タンカー1隻がフーシ派の「テロ攻撃」を受けたと発表していた。また、親フーシ派のテレビ局は、フーシ派がサウジの軍艦1隻を標的にしたとも報じている。

 サウジのハリド・ファリハ(Khalid al-Falih)エネルギー産業鉱物資源相は国営メディアを通じて声明を出し、紅海への南側の入り口に当たるバブエルマンデブ海峡(Bab-el-Mandeb Strait)を通過するすべての石油類の積荷の輸送を「安全が確保されるまで」一時停止したと明らかにした。同海峡は世界で最も通行量の多い海上輸送ルートの一つとなっている。

 連合軍はこれまでも、紅海に面するイエメン西部の港湾都市ホデイダ(Hodeida)を押さえるフーシ派が、国際海運の大動脈である紅海を通る船舶の脅威になっていると繰り返し警鐘を鳴らしてきた。

 ホデイダをめぐっては、連合軍の支援を受けるイエメンの親政府派が、国連(UN)が仲介する和平協議にチャンスを与えるとして攻撃を中断しているが、アラブ首長国連邦(UAE)はこうした取り組みが不発に終わればホデイダを「解放」すると警告している。(c)AFP