【7月25日 AFP】パキスタンで25日、任期満了に伴う総選挙(下院選)の投票が始まった。クリケットの元スター選手イムラン・カーン(Imran Khan)氏率いる野党・パキスタン正義運動(PTI)の躍進が見込まれてはいるが、結果は予想しがたい。

 選挙期間中は軍の介入疑惑や選挙妨害を目的とした襲撃が相次ぐなどした。極右政党の拡大も目立った。武装勢力による襲撃により、3人の候補者を含む180人以上が死亡している。

 パキスタンは家父長制が根強い国だが、今回の選挙では900万人を超える女性が新たに有権者登録した。AFPの記者によると東部の都市ラホール(Lahore)で投票所に最初に入ったのも女性だった。

 選挙はナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)元首相が率いる与党・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML-N)と、カーン氏率いる野党PTIの接戦になるというのが大方の見方だ。

 カーン氏は「新しいパキスタン」の建設というポピュリスト的な公約を掲げ、汚職の根絶や環境の浄化、さらに「イスラム福祉国家」の建設を掲げている。だが、カーン氏の選挙運動は、パキスタンの強力な治安機関から支援されているとの非難がつきまとい、メディアや活動家、シンクタンクらは一斉に将校たちによる「沈黙のクーデター」だと批判している。

 また、カーン氏はここ数週間、強硬派の宗教団体との結びつきを強めており、PTIが勝利すればイスラム強硬派を勢いづかせるとの懸念も生じている。

 一方、PML-Nは、候補者らが圧力を受けるなど、軍部の陰謀が疑われる事態の標的となっていると主張している。カーン氏にとって最も危険な政敵であるPML-Nの党首、シャリフ元首相は昨年「パナマ文書(Panama Papers)」の流出がきっかけで汚職捜査を受け、首相を失職、議員資格も剥奪されている。さらに数日前にはシャリフ氏に、禁錮10年の判決も言い渡されている。(c)AFP/Sarah TITTERTON