【7月25日 AFP】ツール・ド・フランス(2018 Tour de France)は24日、第16ステージ(カルカソンヌからバニェールドリュション、218キロメートル)が行われ、クイックステップ・フロアーズ(Quick Step Floors)のジュリアン・アラフィリップ(Julian Alaphilippe、フランス)がアクシデント続きのステージを制し、今大会の区間2勝目を挙げた。

 山岳のスペシャリストであるアラフィリップは、ミッチェルトン・スコット(Mitchelton-Scott)のアダム・イェーツ(Adam Yates、英国)が終盤に落車した隙を突き、少人数の追走集団に20秒近い差をつけてフィニッシュした。

 アラフィリップは「うれしいよ。序盤の逃げ集団に食い込むのはすごく大変で、そこからはずっと苦しかった」とコメントした。

 総合首位に立つチームスカイ(Team Sky)のゲラント・トーマス(Geraint Thomas、英国)は、この日も他選手のアタックにさらされることはなく、先頭から9分近く遅れてフィニッシュした。しかし、地元農家による抗議があったステージ序盤では、憲兵隊が使用した催涙ガスがトーマスを含めた複数の選手の目や口に入り、治療を余儀なくされる場面もあった。

 最終週の最大の山場といえる第17ステージを前に、トーマスは総合優勝4回を誇るチームメートのクリス・フルーム(Chris Froome、英国)に1分39秒差、チームサンウェブ(Team Sunweb)のトム・デュムラン(Tom Dumoulin、オランダ)に1分50秒差の総合首位を守っている。

 また、ボーラ・ハンスグローエ(Bora Hansgrohe)のペーター・サガン(Peter Sagan、スロバキア)は自身6回目となるマイヨヴェール(グリーンジャージー)獲得を数字の上でも確定させた。

 ステージの主役となった26歳のアラフィリップは、ここ数日は山岳王者の証しであるマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ(水玉ジャージー)入手に必要なポイント獲得に費やしていたが、この日は気持ちの強さに幸運も加わり、独走で逃げ切った第10ステージに続く今大会2勝目を手に入れた。

 ステージ終盤、単独で先行していたイェーツが、最後の山岳であるコルデュポルティヨン(Col du Portillon)の下り坂で前輪を路面に取られて左手から落車。アラフィリップはイェーツがちょうど自転車にまたがり直したタイミングで一気に抜き去ると、イェーツの方を振り返って確認してから距離を広げ、そのまま十分なタイム差を維持してステージを制した。

 アラフィリップは「最高だ。本当にうれしいよ」とコメントしつつ、ステージ途中で崖下へ落下したチームメートのフィリップ・ジルベール(Philippe Gilbert、ベルギー)への気遣いも見せた。

 ジルベールは、1人で走っていたレース残り57キロほどの下り坂で自転車のコントロールを失い、石垣を飛び越えて崖下へ落下した。スタッフの助けも借りながら道へ戻った世界選手権(UCI Road World Championships)の優勝経験者は、再び自転車にまたがると、勇敢にもステージを完走したが、最終的には棄権を余儀なくされた。

 65キロメートルの距離で争われる第17ステージは、今大会最後の山頂フィニッシュのステージで、トーマスはスタート直後から激しい動きがあるのではないかと予想している。(c)AFP/Justin DAVIS