【7月22日 AFP】ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州におけるイスラム系少数民族ロヒンギャ迫害問題の解決に向けた国際諮問機関のコープサック・チュティクン(Kobsak Chutikul)氏は21日、AFPに対し、同機関のメンバーを辞任したと明らかにした。諮問機関自体が問題の「一部」と化す恐れがあるためだという。

 昨年8月以降、ミャンマー政府軍の弾圧を逃れて隣国バングラデシュ難民キャンプに流入したロヒンギャは約70万人に上る。ロヒンギャたちは殺人やレイプ、拷問が横行していたと証言しており、国連(UN)や米国は民族浄化だと非難している。

 タイの元議員で外務省高官だったコープサック氏は、ビル・リチャードソン(Bill Richardson)前米ニューメキシコ州知事が今年1月に諮問機関メンバーを解任されたことを受けて、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問からメンバーに任命されていた。

 諮問機関は第2回会合を週内にミャンマーの首都ネピドー(Naypyidaw)で開催する予定だが、コープサック氏はタイの首都バンコク(Bangkok)からAFPの電話取材に応じ、メンバーとしての職務遂行は不可能だと述べ、10日のスタッフ会合で辞意を口頭で伝えたことを明らかにした。諮問機関が「ロヒンギャ問題の一部」になりかねないという。

 コープサック氏は、ミャンマー当局がロヒンギャ問題で国際社会の懸念にじゅうぶん対応してきたと錯覚するように諮問機関が仕向けていると批判。実際は深刻な事態であるにも関わらず、対応はとられていると錯覚する危険な状況になってきていると危惧を示した。

 また、脆弱(ぜいじゃく)な組織運営や資金欠如が諮問機関の活動の重大な阻害要因になっていると強調。「われわれは事実や数字に関する情報を完全に把握していない状態で、対応は行き当たりばったりだった」と語った。常設の事務所もなく、メンバーがいる場所はばらばらだったという。

(c)AFP/Richard SARGENT